スマートフォンやパソコンなどデジタル機器の画面を近い距離で見続ける生活が習慣化すると、目のピント調節機能に負担がかかり、近視の発生や進行につながる可能性があります。
近年、デジタル機器は私たちの生活において欠かせないものとなっています。総務省の2024年の通信利用動向調査※1によると、デジタル機器は多くの家庭で日常的に使われています。なかでも、全国の個人を対象とした調査において、スマートフォンの保有率は特に高く、80.5%に達しています。さらに、6歳から12歳の子どもにおいても約50%が保有していると報告されています。
スマートフォンなどの普及により、移動中や家で過ごす時間などの生活のあらゆる場面で連絡や情報収集ができるようになりました。それにより、画面を見る時間が増え、「近くを長時間見続ける生活」が習慣化してきています。一方で、屋外で過ごす時間は減っており、遠くを見る機会が少なくなっています。こうした生活習慣が、小児や若年層において、近視が増えている背景の一つとして注目されています。

こども家庭庁の2025年度のインターネット利用環境実態調査※2によると、平日の小学生のインターネット利用時間は平均で100分を超えており、2時間以上利用する子どもは全体の50%以上にのぼっています。2015年度の調査※3では、2時間以上利用する子どもは約28%だったことから、この10年でデジタル機器の使用時間が大幅に増えていることがわかります。
また、幼い頃からデジタル機器に触れる機会が増え、室内で過ごす時間が長くなったことで、目への負担も大きくなっています。以前は小学校高学年から近視が進むことが一般的でしたが、近年では小学校低学年や、幼稚園・未就学児の段階から近視が進むケースもみられるようになりました。※4

大人も、スマートフォンの長時間の使用に加えて、オンライン会議や資料作成などパソコン画面を見る時間が増えています。そのため、目に負担がかかり、気づかないうちに見え方が変わっているケースもあります。これらの生活習慣の影響が、大人における近視の一因となっているとも考えられています。※5

生活習慣を見直そう! 子どもの視力低下を防ぐための生活習慣アドバイス
子どもの視力低下を防ぐためには、毎日の生活習慣を見直すことが大切です。特にデジタル機器の使用が増えている今、意識的に目を休めたり、生活環境を整えたりする工夫が必要です。次のポイントを、日々の生活に取り入れてみましょう。
デジタル機器との
付き合い方を見直す
画面との距離を30cm以上保つ
30分に1回、30秒ほど遠くを見て目を休める

画面との距離を30cm以上保つ
30分に1回、30秒ほど遠くを見て目を休める
屋外で過ごす時間
を増やす
散歩や外遊びなど、体を動かす習慣を取り入れる
1日2時間程度、屋外で過ごす時間を作る

散歩や外遊びなど、体を動かす習慣を取り入れる
1日2時間程度、屋外で過ごす時間を作る
正しい姿勢と
明るさを保つ
イスや机の高さを調節し、正しい姿勢を保つ
明るい場所で読み書きする

イスや机の高さを調節し、正しい姿勢を保つ
明るい場所で読み書きする
視力の変化は緩やかなため、自分では気づきにくいことがあります。年齢に関係なく視力は変化するため、ご自身やご家族など周りの方が日常の小さなサインに気づき、眼科専門医へ相談することが大切です。
特にお子さまの場合、学校での視力検査は見え方の変化を早く見つける大切な機会です。日常の様子と検査結果の両方を参考にしながら、目の健康を守りましょう。
また、目の状態を正しく知ることで、近視以外の異常に気が付くきっかけにもなります。子どもから大人まで、定期的に医療機関で検査を受けましょう。
年齢に関係なく、視力が低下すると現れやすい行動があります。以下のような行動がないか、確認してみましょう。
目が疲れやすく、
よく目をこすっている
見えにくさや目の疲れから、目をこすっていることがある
遠くのモノを見るとき、
目を細めている
遠くのモノがみえづらく、目を細めて一生懸命見ている
本やスマートフォンに
顔を近づけている
文字や画面を見ようとして、顔との距離が近くなっている
テレビを見ているとき、
画面に近づいている
遠くの文字や映像が見えにくく、より近い距離で見ている
学校で行われる視力検査では、5メートル先のものがどの程度見えているかを調べ、結果を「A」「B」「C」「D」の4段階で示します。この検査は、学校生活への影響があるかどうかを大まかに確認するための検査です。
A
視力 1.0以上相当
教室の1番後ろの席からでも黒板の文字はよく見えて、しっかり読むことができます。

B
視力 0.7~0.9以上相当
教室の後ろの方の席でも、黒板の文字はほとんど読めますが、小さい文字は見えづらい可能お政があります。医療機関の受診をオススメします。

C
視力 0.3~0.6以上相当
教室の1番後ろの方の席では、黒板の文字が見えづらく、前の方の席にいれば文字がだいたい読めます。医療機関の受診が必要です。

D
視力 0.2以下相当
教室の1番前の席でも、黒板の文字が読みにくく、見え方は十分とはいえません。すぐに医療機関を受診しましょう。

見え方の変化は自分では気づきにくく、日常生活では見過ごされてしまうことがあります。特に子どもは見えにくさに気付かない、上手く伝えられないことがあります。学校の視力検査で「A」以外の判定があった場合や、日常生活で気になる行動、見え方の違和感がある場合は、早めに医療機関で検査を受けましょう。

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近視との関わり方
参考文献
※1総務省. 令和6年通信利用動向調査. 2024.
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/250530_1.pdf
※2こども家庭庁. 2025年度青少年のインターネット利用環境実態調査. 2025.
https://www.cfa.go.jp/policies/youth-kankyou/internet_research/results-etc/r06
※3こども家庭庁. 平成27年度青少年のインターネット利用環境実態調査. 2015.
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00100105&tstat=000001084657
※4***
※5Dutheil F, Oueslati T, Delamarre L, Castanon J, Maurin C, Chiambaretta F, Baker JS, Ugbolue UC, Zak M, Lakbar I, Pereira B, Navel V. Myopia and Near Work: A Systematic Review and Meta-Analysis. Int J Environ Res Public Health. 2023 Jan 3;20(1):875. doi: 10.3390/ijerph20010875. PMID: 36613196; PMCID: PMC9820324.